さまざまな病と結び付けられるようになった心の傷、トラウマ
しかし心の奥に潜んだトラウマは
簡単には見つけることができず
病気との関連が見過ごされてしまうことも少なくありません
EMDRを使った治療を行っている
臨床心理士の市井雅哉さん(兵庫教育大学教授)です
うつなど表面に表れる症状を緩和するだけではなく
心に潜むトラウマを突き止め、治療することの重要性を訴えています
市井医師 今出ている症状に注目して、眠れないとか、抑うつ気分、不安感とか、それを改善するための薬を出すと。でも、それはもとになった出来事に対してどう捉えるかに働きかけているわけではないですよね。もともとのトラウマをしっかり扱うほうが、よりしっかりと変わるという可能性があると思います。
トラウマを解消することで
人生が大きく変わったという女性がいます
アスカさん(仮名)です
トラウマと闘うことになったのきっかけは
激しい頭痛でした
病院を転々としましたが
一向に頭痛は治まりませんでした
アスカさん 痛み止めと筋弛緩剤とかを処方してもらってたんですけど、それでもやっぱ頭痛は治らない。「ほんまはあかん」と言われとっても、ラムネを食べるように、大量に飲んどった。2週間から1カ月分が1週間とかでなくなるんですよ。
で、もうだんだんそっち(脳神経外科)の先生が「嫌かもしれんけど精神科へ行き」って。行ったほうが治るかもしれへんってことで(精神科の)病院へ行きました。
精神科に行き、うつ病の診断を受けたアスカさん
抗うつ剤を使った治療は5年間続きました
しかし頭痛は治まらないばかりか、うつ状態も悪化
ついには仕事に行くこともできなくなりました
アスカさん 多分、一番死に近かった時期やね。ほぼ「死のう」しか考えてなかった時期ですよ。
うつ病の治療に行き詰まったアスカさんは
精神科医から市井さんのクリニックを紹介されました
健康保険がきかないため
治療費の全額が自己負担となりました
トラウマに焦点を絞った治療が始まりました
そこでアスカさん自身がほとんど意識してこなかった
幼少期の問題が浮かび上がりました
市井医師 象徴的というか、代表するような場面て何か取り上げられます?
アスカさん なんか知らんけど包丁突き付けられたっていうのはありましたよね、腹に。
お父さんらが帰ってくるのが遅くって、私らがご飯食べるより眠いからって寝て待ってたら、すごい怒られて、たたかれて、「なんで先に寝るんや」っていうのが日常茶飯事やったんで。
繰り返し暴力を受けてきたというアスカさん
父親の機嫌を損ねないよう
自分を押し殺し、顔色ばかり気にしていました
社会に出ても、そのくせは抜けず
常に周りの顔色をうかがっては緊張していました
アスカさん 過去が全然過去じゃないんですよね。むしろ、今と過去と、もっとグチャグチャしてて、手を抜いて怒られる、部屋を汚して怒られる、なんかしたら怒鳴られるっていうのが、昔あったよねじゃなくて今自分の身にかかってる感じなんですよ。
父親に強い恐怖を感じた場面の
トラウマの治療が始まりました
しかし激しい頭痛もうつの症状も治まりませんでした
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