出演
佐々木輝美(国際基督教大学教授)
江川達也(漫画家)
江川紹子(ジャーナリスト)
カンニング竹山
RIKACO
小野アナ ちょっとここで、少し話を別の方向に。もう一つ議論していただきたいことがあるので、このプレゼンをお聞きいただきます。
子どものためっていうことも考えつつ、なおかつ表現の自由っていうものも守らなきゃいけないっていう中で、ある業界の取り組みです。
徳永アナ はい。規制すべきじゃないのお話の後に自主規制のお話をします。
いろんな業界が公から言われる前に、自分たちで敷こうという動きは2000年越えてから特に増えています。
二つの業界がどんなことをしているかを見て、これでいいのか悪いのか、どうすべきかを、もう一回ぜひ考えていただきたいんです。
まず、このゾーニングというのは出版業界の動きです。本はコンビニエンスストアにもたくさんありますが、昔とだいぶ変わってきています。こうなっています。
RIKACO はいはい。
徳永アナ 昔は混在していましたけど、今一般的な雑誌と、こういうワオーな感じの雑誌をわけますよね。で、線が引いてあって、このエリアは18歳未満は買えませんとはっきり書いていて、しかもその本は全てちゃんと2カ所半透明のシールが(立ち読みできないように)貼ってある。ちゃんと共通しているんです。つまり、区分けをしている、ゾーンで分けているっていうのが、このゾーニング。これが実際行われています。1990年代から2000年代半ばにかけて進んでいて、ほとんど今コンビニなどはこういうふうになっています。
小野アナ こうすると、どういう効果がある?
徳永アナ 18歳未満の人は買わないでねっていうのをはっきりと書く。
RIKACO でも18歳ですって年をごまかして買う場合はどうするんですか。
徳永アナ どうするんでしょうね。
(一同笑い)
カンニング竹山 買いづらいんすよ。
徳永アナ どっちかって言ったら、子どもへのプレッシャーというよりかは、一緒にいる大人のガイドラインになっているような意味合いもあるんですよね。
小野アナ ああ。どうしてその線の向こう側に立っているのかな、君は? って大人が思うってことですか。
カンニング竹山 やっぱり、そこの前に子どもがいると、全然知らない子でも「おい」って言っちゃいそうな自分がいますもんね。「駄目だろ、これ」っていうような。
徳永アナ で、このゾーン分けっていうのは、ここのゾーンだけではなくって、そもそもこういうところに置いていいのかっていうようなゾーン分けもしていて、こんな組織が今あります。
出版ゾーニング委員会といって、出版業界の人、弁護士さん、それから子どもの人権に詳しい専門家などが入っている委員会で、こういった皆さんがチェックをします。で、コーナーにあるものでちょっと濃いねというものがあると、こういうマーク(ゾーニングマーク)が付きます。で、こういうものが付いた書籍は、そもそも一般的な人が出入りするコンビニや書店には置けないようなルールを自分でつくっている。だから、(店に)入れるか入れないかっていうゾーン分けもしていると。
小野アナ 業界の中の自主規制?
徳永アナ そうです。これは自主規制です。つまり公権力ではないということですね。
小野アナ うーん。
徳永アナ こっちいきましょうか。
小野アナ はい。
徳永アナ もう一つ、レーティングっていうのはゲーム業界です。
ゲーム業界も独立した団体をつくっています。第三者機関っていうんですけど、CEROっていいます。ゲーム好きな方はこの4文字見るとピンと来る方いるかもしれません。ご家庭のソフト、後で見てください。必ず今、日本で流通しているものは、どれか(A,B,C,D,Z)付いています。
小野アナ へえー。
徳永アナ レーティングっていうのは格付けという意味です。
小野アナ これ、さっき佐々木先生がおっしゃってたものですか。
佐々木 そうです。
徳永アナ Aが付くと全年齢オーケー。
RIKACO 知らなかったー。
徳永アナ Bが付くと12歳以上が対象。12歳未満はやっちゃ駄目よと。Cは15歳以上、Dは17歳以上、一番厳しいZが付くと18歳以上だけ。
で、これは(ゾーニングと)同じように親御さんを含めた大人たちへのガイドラインの意味合いがかなり強くて、ソフトを売っているところにはちゃんとこういう分け方がされている。
Zだけはちゃんと別の場所で売るようにってルールを決めているということであります。
江川紹子 ふうん。
徳永アナ じゃ、5段階っていうと、どうやって決めてるんだと思うかもしれませんが、こうやってます。
CEROがさらに一般のいろんな年代の大人たちを選んで来てもらって、ゲームの映像を見て審査してもらいます。審査項目が20項目以上あります。
例えば、暴力、性、反社会性とか尺度が全部あって、暴力一つとってもただ殴るのか、殴って血が出るのか、殴った相手が死んでしまうのかっていうふうに事細かくチェックする項目があるそうです。
例えば性。キス一つとっても親子の間でするもの、恋人同士でするもの、もっと濃厚なものというふうに度合いを見てチェックを入れていく。それを総合的に見て5段階に格付けしていくというのをゲーム業界が自分たちでやっている。
こういうものが主に二つあるんですね。どうお思いになるでしょうか。
佐々木 これはとっても後発なんですね、ゲームをレーティングするっていうのは。
小野アナ ええ。後発というのは?
佐々木 ゲームがエンターテインメントとして新しく出てきたじゃないですか。
小野アナ はい。
佐々木 ですから、新しい時代の基準に基づいてつくられてるんですね。だから、その意味では結構国際基準と同じように基づいているんですね。
小野アナ ああ。
佐々木 だから国際的なものというふうに考えると・・・。
江川達也 これ販売してるものはレーティング付いてるけど、ネットのものはもう自由に見れちゃうんで、あんま意味ない感じはする。
佐々木 ああ、はい、はい。
小野アナ 感じはされますか。でも効き目としては本人がゾーニングで買いづらい、レーティングのほうは、インターネットで子どもが勝手に買ってしまったらしょうがないじゃないかって今・・・。
江川達也 買うとかじゃなくて、自由に見れちゃう。両方共そうですよね。本の形をとっていれば販売するから規制はかけれるけれど、インターネットは自由に閲覧できちゃうんで、もう自分で判断する能力付けさせるしかなくなってきてるっていう。
佐々木 いや、そこだけで言うと子供だけの責任になってしまうので、やっぱり私が言ったように、4分の1の責任ていうことで、出すほうが何らかの責任を負わなきゃいけないっていうことなんですよ。
小野アナ じゃあ、その責任としてやってるんですか、業界は。
佐々木 そうです、そうです。
江川達也 そうそうそう。そうしないと自分たちの業界が規制対象になっちゃうんで、ちゃんと自分たちで規制していくことによって社会的にちゃんとしてますよっていうことを(やってる)。生き残るための方策だと思いますよ。
小野アナ 国から規制を受けたりしないために?
江川達也 受ける前に自分たちがやってしまえばいいっていうことですよね。
カンニング竹山 じゃあ、そのゾーニングとかレーティングで業界が規制しているとすると、ここで親は何をするっていうことですか。
佐々木 そうなんですよ。それを活用するっていうことなんですよ。
カンニング竹山 じゃあ親もちゃんとこれ分かって、親もちゃんと規制しないとっていうことですよね。
佐々木 はい。
カンニング竹山 業界はしてるんだから。
佐々木 ええ、ええ。
カンニング竹山 そこがうまくいってないんじゃないかってことになってくるんじゃないですか。
小野アナ でも業界はしてるのかどうかっていうことで言えば、そういうインターネットで誰でも買えたり、誰でも見られたりっていう時点で、制作した側の責任は果たしているんですかっていう。本当にこれで効き目があるものとして、自主規制しているのかっていう疑問も一つありませんか。
佐々木 うん。だから、漏れがあるから学校で、そういうメディア、暴力に強い、こちら(江川達也)のような暴力を見ても平気な・・・。
江川達也 子どもを教育しなきゃいけない。
佐々木 教育をしなきゃいけないということなんですよね。私が4分の1の責任ていうとこ、そこですね。
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