13歳の少年、ウィルくんです
実の両親とは引き離され
里親のもとで暮らしています
ウィルくんは頻繁に嘘をつき
親の財布から金を盗むなどの問題行動が繰り返されることから
里親がセンターに助けを求めました
夜は悪夢にうなされるため
睡眠薬を飲まなければ眠ることができません
何か原因があるのでしょうか
デブラさんはトラウマを探るため
今は会うことのない実の両親との関係について
ウィルくんに質問します
デブラさん 実の両親に最初に愛されてないと感じたのはどんなときだった？
ウィルくん 父さんが戸口のところに僕をたたきつけたとき。
デブラさん 頭のどの辺りを戸口にたたきつけられたの？
ウィルくん ここら辺。(手で頭頂部を縦になぞる)
振り返ったら父さんの姿が見えて、僕はできるだけ速く走ったんだ。そうしたら父さんが僕をいきなり投げて、戸口にぶつかった。それで父さんが僕の頭をタオルで巻いて、病院に連れて行ったんだ。誰も僕の頭を縫い合わせるお医者さんを手伝おうとしなかったんだ。
父親の暴力で頭に傷を負ったとき
家族の誰もそばにいてくれなかったことに
ウィルくんは深く傷ついていました
親から受ける虐待は
誰にも守られていないという不安感を植え付けます
デブラさんはウィルくんのトラウマを取り除くため
不安と恐怖の源となっている記憶に働きかけます
頭にけがを負ったとき
誰もそばにいてくれなかった場面を
今度は里親の膝の上で
思い起こさせます
デブラさん じゃあウィルの膝をタップするわね。君の膝をタップするけどいいかな？
デブラさんは膝を交互に刺激しながら
けがをしたときに家族が寄り添っている場面を想像させます
デブラさん 今、頭を縫い合わせてくれているけど痛い？ 痛いなと思ったら、いつでもママの手を強く握ってね。ママの手をもっと強く握って。もっと、もっと、もっと。
ウィルくんの里親 握ってくれてます。
デブラさん その調子。君はその痛みを乗り越えようとしているのよ。それを独りでしなくてもいいの、君のママがそばにいてくれるから。
今はもう安全な場所にいる
膝に交互の刺激を与えながら
そのイメージを心に刻み込んでいきます
デブラさん 今はどんなふうに感じてる、ウィル？
ウィルくん 大事にされてると感じてる。
幼いころに受けたトラウマにより
周囲の大人に強い不信感を抱いていたウィルくん
少しずつ里親の愛情を受け入れられるようになっていきました
デブラさん 治療を受けずにいると、おとなになったときに深刻な問題を抱えるかもしれません。犯罪行為につながる可能性もあります。怒りの感情「サバイバル脳」を持ったまま大人になるため、他人は信用できないから、自分がほしい物を手に入れるには戦うしかないと感じ、何らかの犯罪行為に関わる可能性がありますし、場合によっては麻薬やアルコールに頼るようになるかもしれません。
心の病や問題行動の原因となる
子ども時代に受けた虐待のトラウマ
その治療は
幼く孤独な心を救い上げています
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