2013年7月8日月曜日

Ns'あおいは理想的な看護師か?




こしのりょうさんの「Ns'あおい」を読み終わりました

2004年から2010年までに発表 全32巻です



”熱血看護師の物語”というのが分かりやすいでしょうか

問題だらけの病院に転属になった

主人公 美空あおいが 

その真っすぐで無謀とも言える仕事への姿勢で

周りの医師や看護師などが影響されていきます

いわゆる”たらい回し”という名の受け入れ困難の問題や

終末期医療、救命センターの現場など

非常に分かりやすく描かれています





ネタバレしてるよ





看護師もののマンガは「おたんこナース」以来

「おたんこナース」は1995年~1998年だから

10年以上ぶりっていうことか

あちらは佐々木倫子作品らしく

淡々、ひょうひょうとしたイメージだけど
(読み直したくなってきた)

「Ns'あおい」は殺伐としてるというか

医者と看護師の仲も一部とはいいけど

一部はすごく良くない

「ああ、こんな職場は嫌だ」って感じだし

医療不信からなのか患者からの信頼がなくてクレームが多かったり

改めて看護師さんて大変だなあと思わせる描写が多いですね


もちろん、これはマンガだし

問題点を分かりやすく膨らませて描いてあるんだろうとは思いますが

もしこのまま医師不足、看護師不足、

そして世の中の医療不信がエスカレートしていったら

このマンガの中で起こっていることは日常的になり得るんじゃないかとか

一部にはこういう病院もあるだろうなあとは感じました




さて、主人公の美空あおいというキャラクターについてですが

いつも患者のことを第一に考え行動し

プライベートの時間にも患者のためにメールの代打ちをしたり

目の前の患者を助けるために

自分への処分があるかもしれないのを覚悟で

看護師がしてはいけない気管挿管をしてしまったり

熱血漢で、ある種の理想的な看護師です


だけど見ているほうは常にハラハラしちゃうんですね

「ああ、こんなに入れ込んで体壊すんじゃないか」とか

「問題が大きくなって、マスコミ沙汰になって

看護師資格を剥奪されちゃうんじゃないか」とか

結局ラストであおいは問題を起こし

責任を取って、へき地に異動になってしまうのですが

そこでのあおいの暮らしを見て

私は正直ホッとしてしまいました

「ここでなら、もう少しのんびりやっていけそうだなあ」と

作者がどうしてこういうラストにしたのか分かりませんが

描いてるほうも疲れちゃったのかなあ

「あおいにもうちょっとゆっくりさせてあげよう」と思ったのかなあ

と勝手な想像をしてしまいました


高校生のときのあおいは

割とぐうたらで将来のことなんか何も考えていない

どこにでもいる普通の少女っていう感じでしたが

物語の始まり、看護師3年目、23歳のあおいは

「こうあるべき」という確固たる看護師(人)としての理想像を持っているように見えて

この辺は、ちょっとリアリティーに欠けるような気がしました

周りの医師や看護師、患者はあおいの言葉や行動によって影響され

仕事への姿勢が変わったりするんですが

あおいは他人に影響されてグラグラ気持ちが揺れ動いたり

自分の価値観に疑問を持ったりっていう描写はあまりないんですよね

私はあおいよりずっと年上ですが

こういうふうに思ってたけど、でもそうじゃないのかもと

悩んだりすることはもちろんありますし

そういうことってきっと

10年後も20年後も当たり前のようにあるんだろうと思うんですよね

でも、あおいもあんまり描写がないだけで実は悩んでいるのかもしれませんし

もしかしたらこれから揺れ動いたりするのかもしれませんね



あおいは母親と弟の3人ぐらしだったのですが

高校生のときに母親が亡くなるところを目の前で見て

そのときの看護師の姿を見たのが

看護師になるきっかけだったみたいですが

もしかしたら母親の亡くなった心の穴を埋めようとして

そして弟を食べさせるために

がむしゃらに働いているのかなあとも考えたんですが

そうだとしたら何だかとっても悲しいですよねえ

でもいい人も見つかったし

これからは自分のことをもっと大事にして生活していってほしいなあ


あのままの働き方をしていたら遅かれ早かれ

体を壊して看護師を辞めざるを得ないような状況になっていたかも


現実でも

目の前に病気で弱っている人が目の前にいるわけですから

「自分が多少でも無理をして」と思って

無理無理働いて、体を、あるいは心を壊して

結局辞めてしまうような人って

少なくないんじゃないかなと思うんですよね

看護師不足って何十年も前から言われ続けているのに

もうちょっと国が有効な対策を取れないもんかなあ

医療って誰にでも関わりがあることだし

私も今まで本格的にお世話になったことないなあと思っていたけど

考えてみれば生まれたときは病院でお世話になってるんですよね

このまま放っておいたら

取り返しのつかないことになりそうで何だか怖いです


そんなわけで

私にとっての理想の看護師というのは

「ちゃんと休みが取れてプライベートも充実させて人生楽しくやってる看護師」

って感じでしょうか

やっぱり現場で働いている人たちが疲れていると

患者にとってもいいことないと思うんですよね

これを実現させるためには

むしろ医療現場以外の人間の力が必要かもしれませんね

一人一人が自分の問題だっていう認識を持つようになればいいんですが

なかなか難しいですよね


でもそういうときに

このマンガっていうものが大きな力を持つかもしれませんね

ドキュメンタリー番組なんかもいいですが

そういうものってもう既に問題意識がある人じゃないと

なかなか見ようと思わないけど

マンガだと娯楽として気軽に手に取りやすいですよね


こしのりょうさんも奥さまが看護師さんで

それでこのマンガを描くことになったようですが

重いテーマだったりデリケートな問題を扱っているだけに

取材するにも物語にまとめるにも

葛藤や苦労があったんじゃないかなあと思います




このマンガを読んで「こんなことまで求められたら困る」とか

「こんなことは現実にはあり得ない」とか

実際の看護師の方の意見を目にすることがあります

もちろん表面だけを見ていろいろと言う人はどこにでもいると思うので

デメリットがないわけではないと思いますが

それ以上にいいことがたくさんあるんじゃないかな~


このマンガに出会って看護師になろうと思った人や

そこまで人生を大きく変えないまでも

医療問題に興味を持つきっかけになった

医療現場や医療で働く人たちを身近に感じるようになったっていう人は多いんじゃないかな

私もこのマンガを読んですごく勉強になったなって感じていますし

他にも看護師を主人公にしたマンガがあったら読んでみたいと思います











こしのりょうさんが連載中の「町医者ジャンボ!!」が

テレビドラマ化されるようです

主演は忽那汐里さん

忽那汐里さん好きだから見てみようかな~

と思って調べてみたらもう第1回放送終了してました(!!)


次回は7/11(木)夜11時58分からです

みなさん、お見逃しないよう・・・


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