2013年11月3日日曜日

壇蜜 サワコの朝(3)「グラビア、天命」




阿川佐和子 で、29歳からグラビアアイドルっていうのも結構な珍しいタイプでしょ?

壇蜜 そうですね。もう選手生命過ぎちゃってますからね(笑)

阿川佐和子 いやいや(笑)
 でも、一般的にはグラビアアイドルになるっていうと、ちょっといろんな覚悟がいりそうな気がしますけど。

壇蜜 そうなんですよね。ただ、あの~やっぱり、欠品っていうふうに額に判を押してしまったせいか・・・。

阿川佐和子 自分で。

壇蜜 皮膚に、自分の着ている皮膚にそれほど価値がないと思ってたんでしょうね。

阿川佐和子 へえ~!

壇蜜 もうちょっと手垢も付いてるしいいですか? っていう感じだったんです。(笑) 

阿川佐和子 手垢付いてたんですか?

壇蜜 この辺手垢付いちゃってますけど、大丈夫ですかねっていう感じです(笑)

阿川佐和子 欠品ですからって。

壇蜜 欠品ですからどうぞって(笑)




グラビアデビューするや、すぐに大人気となった壇蜜さん


実は1枚の写真の中に自分なりのストーリーを考えているといいます



阿川佐和子 じゃあ、まずこちら。
 (バックに漁船が並んでいる防波堤?を笑顔でこちらへ歩いてくる。ひざ上丈のベージュのトレンチ風コートにストッキング、黒いヒール、軽くウェーブがかかったロングヘアを下ろしている。右手の人差し指と親指にヒトデをぶら下げている。)
  いつごろ? これ。

壇蜜 これ、31です。これはちゃんと設定が・・・。

阿川佐和子 設定?

壇蜜 はい。未亡人に初彼氏ができたっていう。

阿川佐和子 これ未亡人なの?

壇蜜 はい。これから先どうしましょうっていったところに。で、彼氏と漁港に。多分彼氏は漁師なんでしょうね。

阿川佐和子 漁師!

壇蜜 はい。で、漁師の彼氏・・・。

阿川佐和子 のふるさとに行くみたいな?

壇蜜 はい。そのふるさとに「ちょっと行かないか」って言われて「行く~」ってなって。で、こう歩いていたら死んだヒトデを拾ったんでしょうね。

阿川佐和子 死んだ・・・(笑) これは何を示唆してるんですか?

壇蜜 性に対するアンチテーゼでしょうね。

阿川佐和子 あっ、こっち(彼女は)は生きている?

壇蜜 はい。私は生き残ったけれども、これ(ヒトデ)は死んだ旦那でしょうね(笑)

阿川佐和子 あっ、旦那ですか、これ(笑) 一種、でも女優さんね。

壇蜜 あははっ。死んだヒトデ持って?(笑)

阿川佐和子 だって、こういう若き未亡人が男のボーイフレンドができて、ちょっとうれしいっていう演技をしてるわけでしょう?

壇蜜 漁師の彼氏でウハウハです。

阿川佐和子 ウハウハ?
  それはカメラマンの人とか、編集の人とかと相談しながらご自分でも考えるわけですか?

壇蜜 そうですね。まずは編集さんやカメラマンさんの何を撮りたいかっていう話をお互いにすることだと思うんですよね。

阿川佐和子 ほお~。
 私はそういうんだと乗らない感じみたいなのは(ある)?

壇蜜 は、ないかな~。それでいいならそれにしましょうって。そっから先は編集さんやカメラマンさんでつなげてほしいんですよね。まずは全部素材を提供するのが自分のできる最低限の仕事なんで。



阿川佐和子 じゃあ続いて。
 (ホテルの1室。カーテンのかかった窓から陽の光が差し込む。コーヒーテーブルの上のテーブルライト。その横に椅子の背もたれに寄りかかって立っている。濃いアイメーク、きつめのウェーブがかかったロングヘアを下ろしている。タイトなグレーのジャケットに白のブラウス。かなりタイトでミニなスカート。)
 あっ、これも今とちょっと違う顔に見えますが。

壇蜜 これはごきげん斜めなOLですね。部長に呼び出されたんだけれど、まずはちょっとそこに立ちなさいって言われちゃったんで。もう、楽しみにしてきたのに~って。

阿川佐和子 部長、意味分かりませ~んって言ってるような?

壇蜜 はい。

阿川佐和子 グラビアってそういうふうに見たほうが面白いのかしらね。

壇蜜 恐らく自分の中でのストーリーを確立してったほうがつながりますね、写真と心が。

阿川佐和子 なるほどね!



阿川佐和子 あっ! これまたかわいらしい。
 (住宅街の上り坂を上っていく、振り返って笑顔。ストレートに下ろした髪。赤い薄手のカットソー、青い花柄の膝丈スカート。野菜が入ったレトロな赤い買い物かごを持っている。)
 
 
  これはなんか主婦と見た。

壇蜜 結婚して2人っきりになれてうれしいっていう気持ちを。彼がいるのが当たり前なんだけど、振り返って彼がいることに再確認してうれしい顔っていうこと。

阿川佐和子 ああ~。

壇蜜 後ろに振り返ることが前向きになるっていうことなんですよね。

阿川佐和子 そういうことを考えながらカメラの前にいるんですか?

壇蜜 (笑顔でウンウンとうなずく)

阿川佐和子 へえ~。この笑顔とか、ポーズを撮るのが壇さんの・・・。

壇蜜 恐らく自分が壇蜜じゃなくて、カメラの前に立つだけの存在になったときに、こういう顔が出てくるんでしょうね。

阿川佐和子 あっそうか、壇蜜というタレントはまず捨てなきゃいけないの?

壇蜜 はい。いなくていいんです。

阿川佐和子 ますます女優さんじゃないですか。

壇蜜 はははっ。

阿川佐和子 ありがとうございました。



阿川佐和子 職業としてはグラビアアイドルっていうことは合ってるなって・・・。

壇蜜 そうですね。自分の天命だと思ってますね。

阿川佐和子 天命?

壇蜜 はい。

阿川佐和子 それはどこらへんでそう思ったんですか?

壇蜜 あの~、恐らく夜討ち朝駆けをしてもつらくない。現場の方々と一丸となってできることに何より良かったって思える。

阿川佐和子 でも、壇さんもやっぱりチームで仕事をして、よっしゃ、みんな頑張ろうぜ! っていうようなのの一員になってることが好きなの?

壇蜜 そうですね。昔、そうやって「パスちょうだい」って言ってもパスが回ってこなかった時代を経験しているからこそ、やはり自分がそのコートの中に入れるとか・・・。

阿川佐和子 うん。レギュラーになって。

壇蜜 はい。ちゃんとこうやったときにボールがパシッと来ることがうれしいんでしょうね。

阿川佐和子 そうか、そうか、なるほどね。

壇蜜 はい。

阿川佐和子 でも、出会ってよかったですね。

壇蜜 そうですねえ。

阿川佐和子 そうじゃないと、ずーっと欠品って思ってたわけでしょう?

壇蜜 そうですね、まだちょっと「けっぴ」ぐらいまでは・・・。

阿川佐和子 残ってんの?

壇蜜 はい。「ん」が消えたぐらいですね(笑)

阿川佐和子 ええ~そ~お?


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