中谷文彦アナウンサー 親としては本当に心配なんですけど,まず見守るというのが大事だということなんですけども,かといって見守って、じゃあ社会人になってどうなのかっていう心配もあると思いますよね。実際、今回はかつて不登校だった一人の女性の今を取材しました.
~VTR
京都で司法書士をする福本さん(29歳小6~中3まで不登校)です
小学校6年のとき,毎朝原因不明の頭痛や腹痛に襲われ
学校に通えなくなりました
福本さん もうとにかく力がなくなってしまった、学校に行くエネルギーがなくなってしまったっていう感じですね。
そのとき福本さんを悩ませたのは
理由を探ろうとする母親の質問攻めでした
自分自身も訳が分からなかったからです
福本さん パニック状態ですね、頭の中はもう。パニック過ぎて思考が停止してしまうみたいな感じで。本当は行くべきやと思ってるんですね、心の中では。本当は行くべきやと思ってる自分と体がそれについていけないみたいな、その引き裂かれ状態がすごくあったと思います.
事態が好転したのは
母親のある決意がきっかけとなりました
質問攻めや意見の押し付けをやめ
冷静に状況を見つめ直してくれたのです
さらに母親の提案でカウンセリングを受けます
そこでカウンセラーから
「事実を受け止め、肯定することが大事」と助言されます
2人の励みになりました
福本さん ずっとそれまで学校行かないっていうことについて、ものすごい罪悪感とかもありましたし、でもそう言ってもらえて「あ、家にいてもいいんだな」って、ほっとできたのがすごくよかったですね。
その後、高校に通わず大学に進学する道を選択
自宅や塾で猛勉強し、
大学受験資格を獲得
大学にも合格します
ハンディと思えた不登校を見事克服しました
しかし、再び福本さんにつらい日々が訪れます
大学4年で本格化した就職活動でした
面接の質問が福本さんを悩ますことになります
高校に進学しなかった理由を毎回聞かれるんです
不登校のことを説明すれば就職で不利になると考え
口ごもってしまう福本さん
結果、20社近く受けましたが、
一つも内定が出ませんでした
このとき母親は、
何も言わずただ見守り続けてくれました
実は、これが福本さんの救いになっていたのです
福本さん 「親にしてもらったことで一番よかったことって何ですか?」って聞かれるんですけど,「ほっといてもらえたこと」って私は答えてるんですよ.だから、何か働きかけをするよりはそっとしといてほしい。それによって自分のエネルギーが回復していったなっていうのは思うので。
就職活動の終盤
福本さんはこれまでの考えを改めます
積極的に不登校の体験を話すようになったのです
他の人にはない
自分の経験が強みに変わると気付いたからです
結果、ついに内定をもらえました
その後、司法書士の資格を習得
現在に至ります
ハンディと思えた不登校の経験は
今、心の糧へと変わりました
福本さん 例えば自分がつまづいたり、失敗したりとか,そういうときでも「じゃあ、私は人と同じにまで戻さないといけない」とか「早く人に追いつかないと」とか、そういうことを考えなくなった。本当に自分の土台を作ってくれたものという感じですかねえ。
尾木直樹 そうなんですよねえ.やっぱり不登校っていうのが人と違って遅れちゃったんだ、だから追いつかなきゃいけないとか「何か欠けてるものがあるんだ」って思うんじゃなくて、福本さんがおっしゃってるように、違うルートを通って自分らしさを、土台を作り上げてるわけで、人がしなかった経験が、弱みに見えるか分かんないけど、実は強みなんですよ.だから就職試験もそうなんです.
僕ね、大学の推薦入試のときに、不登校の子をわざととりましたよ.
井ノ原快彦 へえー。なぜですか?
尾木直樹 それはやっぱりその子の高校生活だとか、中学生のときの不登校体験っていうのは他の友達にも生きてくるし、僕たち教師が学びたいとも思いました.僕たちっていうか僕がね(笑)
室井佑月 親としては「そっとしておく」っていうのが一番難しい。
井ノ原快彦 いやあ、そうでしょうねえ.
中谷文彦アナウンサー 実際、今VTRに出てくれた若い女性は福本さんの娘さんなんです.
有働由美子 福本さん、よくじっと見守れましたねえ,本当に。
井ノ原快彦 どんなお気持ちでした?
福本早穂さん もうずっとやっぱり心配なんですけど,やっぱり「こんなことしてていいか」って、ずっとその思いあるんですけど,とにかくそれは脇に置いて。言えば言うほど悪くなるの分かってるのでグッとこらえて。その代わり親の会行ってワーッと言って聞いてもらう.
井ノ原快彦 そうか.そういう場もちゃんとつくりながらじゃないと。
福本早穂さん そうです.それがないと、もーう爆発しそうです.
尾木直樹 親の仲間っていうのも大事ですねえ.
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