倉本 だって、俺なんかもう勢いで、多分ズルズルしたら途中で嫌になると、マリッジブルーになると思ったから、よし、しようってなって1カ月後には式挙げてたもん。
田村 ええー!
倉本 もうほんまに、すぐ押さえて、会場も。「今から、今から押さえよう!」って言うて、もう自分が逃げへんようにして。「しよう、しよう、今電話してつながるとこにしよう」ってバーってやったら1個つながったから「もうそこ!」みたいな。
田村 (笑) それ相手うれしいんすか、そんな焦ってる感じの。
倉本 まあ、向こう割と結婚したがってたから・・・。
浦沢 あーあ、もう分かってんじゃない、こういうタイプだから。
田村 浦沢さんはどうだったんですか。
浦沢 もう勢いですよ。あの、一応連載が決まったから。『パイナップルARMY』始まるってだけですよ。
田村 あー。タイミングにしたってことですか。
浦沢 タイミング関係ない。でも、まあ何とかなるだろうっていうのはあったんだけどね。
田村 じゃあ、その勢いでポーンと結婚した後に自分ていう人間は変わりました?
倉本 うーん。やっぱり環境が変わるからね、変わらざるをえない。やっぱり自由が束縛されるっていうエネルギーの使い方が功を奏すことがあるよね。
田村 はえー。
倉本 うん。だって俺結婚せえへんかったら、ほんまになんだってええと思ってたから。
田村 (笑)
浦沢 分かる。
倉本 でも相手がいてて俺を馬扱いしてパーンパーンパーンて「稼げ」「働け」ってやったからこうやってこんな対談にも出れるようになってるけど。
田村 うん。
倉本 だから全然違うよ、やっぱり。
田村 へーえ。
浦沢 僕は売れない漫画家になるはずだったんだけど、まだ『パイナップルARMY』まで結構マニアックですけど、結婚してから『YAWARA!』思いついたんだよね。
倉本 そうそう。おっきいねんて、それって。
浦沢 そうそう、それはマニアックな趣味の漫画描きっていう中で、売れ線の漫画っていうのもあるじゃない。
田村 うん。
浦沢 で、どれぐらいまで自分がチャレンジできるのか、チャレンジしてみようっていう気になったもんね。
田村 結婚してから?
浦沢 うん。
田村 へーえ。じゃあ結婚してなかったらそんな考えも出てなかったですか?
浦沢 『YAWARA!』っていう、あの作品は思いついてないと思う。
田村 へーえ。
倉本 すごい大っきいて、これは。
田村 そうですね。
倉本 ほんまに、ほんま。
田村 勢いでいく割にはだいぶ変わりますね。
倉本 だから、その・・・。
田村 そうか、勢いでいくから変われるのか。
倉本 そうそうそう。そうなんよ、そうなんよ。
浦沢 そうそうそう。慎重に考えてないから、後で何とかしなくちゃって。
倉本 何とかせなあかんてなるねんて。
田村 うん、うん、うん。
浦沢 いや、本当、1人でやってたら何の責任もないからねえ。
倉本 そうそう。どんどん、どんどんマニアックなってくもん。
田村 うわあー、うおー、すげえ、なんかだいぶ傾くなあ。だいぶ傾く話ですね。
(一同笑い)
浦沢 それこそ子どもができたりしても変わるし。
田村 うーん、そっか。
倉本 人が俺を変えてくれるみたいな、変わらざるをえない環境ていうのが役に立つ。
田村 いやあ、なんか思いがけず考え方が今ガラリと変わりましたね。
(一同笑い)
倉本 電話持ってきて、電話!
田村 いや、まだ早いです(笑)
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