2014年1月23日木曜日

あさイチ どう向き合う?わが子の不登校(8)「起立性調節障害」

中谷文彦アナウンサー そうやっていろんな面がある不登校なんですけども,行きたくても行けないというケースがあるんですね。
 実は、思春期特有の病気が潜んでいる場合があることが分かってきたんです,不登校の原因として。それがこちら、「起立性調節障害」という病気なんです.どんな病気なのか,ご覧ください.



~VTR


神戸市に住む中原真澄さん


午前6時、毎朝欠かさず行っていることがあります


息子の功貴くん(中3)に血圧を上げる薬を飲ませることです


この薬を飲まないと

功貴くんは学校に通うことができません

「起立性調節障害」という病気のためです


起き上がると、激しい吐き気と頭痛に襲われます


中原真澄さん 病気になったことに関しても、もしかしたら私が育て方を間違ったのかもしれないとか,(子どもに)無理させてたのかもしれないとか,丈夫に産んでやれなくてかわいそうだなとか,やっぱり自分を責めるような状態にもありましたね。



大阪医科大学附属病院(大阪・高槻市)


起立性調節障害は

脳に流れる血液の変化によって引き起こされます


検査は血液の流れる量、血流量を測定する機械を使って確かめます


功貴くんに寝た状態から起き上がってもらうと・・・

脳の血流量を表す数値が

起きた直後、急激に減少していました



寝ている状態から起き上がると

血液は重力に引っ張られるため

下半身にたまりやすくなります


健康な人であれば

自律神経が働き、下半身の血管を収縮させたり

血圧を上げたりして調整します


ところが起立性調節障害の場合

血液が下半身にたまっても自律神経がうまく働きません


その結果、脳の血流が不足

激しい頭痛やめまいなどの症状が現れるというのです


田中英高さん(小児科医)
 生活態度を直したら治るとか、根性・気合で治るものではありません。血圧が下がって脳の血流も下がるのに、根性はやっぱり出ないですよ,気合も入りません。やっぱり体の病気だからね、それは。



功貴くんが発症したのは小学校2年のときでした


病気が判明してからすぐに投薬を開始

容態は快方に向かいます


ところが中学に入学とともに一変


毎朝頭痛に悩まされ

ほとんど登校できなくなりました


そんな中、真澄さんは

功貴くんに対して割り切れない思いを抱くようになりました


症状が決まって午後になると収まっていたからです


中原真澄さん やっぱり家族でも,なかなか最初は分からなかったんですね。で、夕方になったらゲームしてるっていうことは、見てても果たしてそれが病気なのかどうかっていうのが分かりにくかったんで、どうしても冷たく当たる部分もあったかもしれません。


当時、功貴くんは病気のつらさをノートにつづっていました




功貴くん これは中2の(学校に)行けてないころに書いてたんですけど.

スタッフ お母さんとかはこのノートのことは?

功貴くん 知らないです.誰にも言ってないです.



「もうあんな痛さはいや。普通に生活したい。」


治したい思いを吐き出し

心の支えにしていたのです


功貴くん 人には言えないことを人に伝えるようにみたいな感じで(笑) なんか頑張って書いた覚えがあります.



わだかまりを抱えていた真澄さんは

一昨年、病気で悩む人たちのサークルを知り、参加します


そのとき「20歳までにたいてい治る」こと

「進学・就職も可能」なことを聞きます


真澄さんの大きな転機となりました



この日、功貴くんは薬を飲んでも起き上がれませんでした



功貴くん しんどいです.

スタッフ 頭が痛い感じ?

功貴くん 頭が痛い。

スタッフ 学校、どうする?

功貴くん 行けないです,しんどくて。




結局学校に行かないことに


真澄さんは、今息子と一緒に病気と向き合う決意をしています



中原真澄さん 「あ、大丈夫なんだな」って、「治るんだな」って思えたことが一番。そうしたら今の時間、楽しめることを探してみようって切り替えることができました.







井ノ原快彦 あのノート、見せてくれたのはうれしかったですねえ.本当,有り難いですね。
 でも,やっぱりお母さんに心配かけたくなかったんでしょうね。近くにいても見せられなかったっていうのは。

中谷文彦アナウンサー この起立性調節障害なんですが,実は中高生の10人に1人がなっているんです.どういうことなのか,専門家をお呼びしています.小児科医の田中大介さん。思春期の心と体の病気の診療がご専門です.よろしくお願いします.

田中大介さん よろしくお願いします.

有働由美子 10人に1人っていうのは・・・そんなにいらっしゃる?

田中大介さん そうですね。功貴くんみたいに学校行けなくなるぐらいまでのお子さんはそれほどでもないんですけど,朝なかなか起きられないとか、朝学校に行ったけど、なんか調子が出てこない、でも午後になってくると元気が出てくる、そういうお子さんを入れると大体10人に1人っていう統計が出ております.

井ノ原快彦 じゃあ診断されていなくて誤解され続けてる子も結構いるっていうことですか?

田中大介さん たくさんいると思います.

井ノ原快彦 じゃあ、まずは病気だって分からないといけないですよね。

尾木直樹 僕、中学校の教師だったですけど,そういうの気が付かなかったですけどねえ.昔からおられるんですか?

田中大介さん 昔からいまして、大体1960年代ぐらいから疾患自体は小児科の中では分かってたんですけど、ただ実際に患者さんが・・・今言ったことでお母さんが気づかないので、病院に行かないので分からない。先生方も知られてないので先生もなかなか分かりづらい。
 最近でもすごく気合の入った体育系の先生なんですけども,起立性調節障害のお子さんで「先生が根性で治してやるから」って話をするんです.でもすごいいい先生で気持ちは伝わる。病院で診断を出した後は「ああ、そうなんだ」って言って、「僕が中学校行って話をしたら、そのクラスの中でもやっぱりいました」と。

室井佑月 でも病名が分かってよかった.病気なのに「怠けてる」とか言われたら嫌だもんね。


関連
あさイチ どう向き合う?わが子の不登校(9)「起立性調節障害チェックポイント」
あさイチ どう向き合う?わが子の不登校(10)「父親ができること」
コミュニケーションの根源に迫る自閉症スペクトラム最新研究 サイエンスZERO 文字起こし
(5)「子どもへのトラウマ治療」 ETV特集 トラウマからの解放
エデュカチオ!「学校に行きたくない!」 不登校について  

0 件のコメント:

コメントを投稿