2013年9月23日月曜日

(7)「解離」 ETV特集 トラウマからの解放


子ども時代のトラウマが見過ごされると

複雑な症状が引き起こされることは

日本では、まだあまり注目されていません


計り知れない数の人が

今も不可解な症状に苦しみ続けています




姫路市


27歳のユキさん(仮名)


介護福祉士として働きながら

おしゃれを楽しむ明るい女性です



ユキさんは働き始めたころから

男性の声で気分が悪くなったり緊張したりするようになりました


やがて人混みや職場にいるだけでも苦痛を感じるようになり

介護福祉士の仕事にも支障が出始めました



ユキさん 例えば職場の男の人と仕事するときにうまいこと動けなくなったりとか、家でお父さんの声で泣いてしまったりとか。なぜか手が震えたり、足が震えたりとか。



4年以上この症状に悩み、うつ状態になったユキさん

医師の勧めでカウンセリングを受けることになりました



治療を担当するのは

臨床心理士の大塚美菜子さんです


大塚さん 職場は?

ユキさん ああ、職場はね、大きい声のおじいちゃんが戻ってきたからねえ。困った。



男性の声に体が反応してしまうのはなぜなのか

原因となる過去の記憶を探っていきます



大塚さん 体のどこでそのしんどさっていうのを感じるかな?

ユキさん 耳。

大塚さん 耳。耳がどんな感じ?

ユキさん 耳、やだ。



ユキさんは幼い子供のような声で泣き始めました

ユキさんには「解離」という症状が現れていました



幼いころ、

受け止めきれないほどのつらい体験が繰り返されると

心の中に架空の人物をつくり上げ

その人物にトラウマが起きたときの記憶や

それに伴う苦痛を委ねます

これが「解離」です



ユキさん自身も

自分の中に複数の人物がいることに気づいています


しかし

それぞれの人物が受け持っている記憶を

思い出すことはできません



大塚さん メーンでこの記憶を持ってるのはユキちゃんって考えていいのかな?

ユキさん うん。

大塚さん そうだね。で、ユキちゃんは今1人でいすに座ってるの?

ユキさん うん。



男性の声へのトラウマを抱えていたのは

「4歳のユキちゃん」という人物でした



ユキさん 隣におる。

大塚さん 隣におるね。



心理士は現在のユキさんではなく

トラウマを抱えた「4歳のユキちゃん」に向けて

治療を始めます



大塚さん どんな場面が一番怖いって、感情がものすごくぶれてしまうシーンとして切り出せるかな?

ユキさん おっちゃんの声。逃げられない。



4歳のユキちゃんは

親戚のおじさんが大きな声で怒鳴っているのに

怖くて逃げ出すことができないと訴えます


大きな声で怒鳴られた状況を思い浮かべながら目を動かし

恐怖の感情を和らげていきます



大塚さん はい、深呼吸してください。



次に、心理士は

大きな声のおじさんを怖がる必要はないことを

4歳のユキちゃんに伝えました



大塚さん ちょっと違うところ行ってみたいなあっていうふうに思ったら、自由に動ける足もあるし、そういうユキちゃんの力っていうのをどこかで感じることはできるかな?

ユキさん 手、動く。(右手を動かしてみせる)

大塚さん 動く。そうだね。手、しっかり動くよね。
 手が動くっていうことは、ノーっていうサインをすることもできるよね。ユキちゃんは自分で選べるのよって伝えて上げて。



4歳のユキちゃんは

自分の意思で大きな声から逃げられることをイメージしながら

目を動かしていきます



大塚さん はい、深呼吸してください。今何がありますか。

ユキさん 嫌だって言ってもいいの? ってびっくりした。

大塚さん ああ、本当。



4歳のユキちゃんは

自分の力で大きな声のおじさんから逃れられることに気づき

安心します



 
 
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