2014年1月15日水曜日

ボクらの時代 壇蜜×小島慶子×ミッツ・マングローブ(6)「復讐心」

小島慶子 葬儀屋さんやってたり・・・。

壇蜜 あんここねてたり・・・。

小島慶子 ホステスさんやったり、いろいろあって29(でデビュー)っていうのはグラビア界ではものすごい遅い・・・。

壇蜜 いやいや化石ですよ.

小島慶子 写真撮られるの好きだったとか?

壇蜜 それは好きでした.

小島慶子 ちっちゃいときから?

壇蜜 仲間に入れてもらうことがグラビアのお仕事で初めて経験するような感じなんですよ.

小島慶子 え?仲間に入れてもらう?

壇蜜 それまでも先輩・後輩があったり仕事の仲間がいたりして大事にされてきたとは思いますし、自分の役割もちゃんと果たしてきたつもりだったんですけど,グラビアの世界ではカメラマン・編集・メーク・スタイリスト・私っていうことで一つの円になって、みんなが同じ分量でお互いを大事にしあって働くことがすごくうれしかったですし、昔何となく学校生活馴染めなくて、小学校のころとかはほとんど友達ができなかった時期があったし・・・ポートボールって知ってます?

小島慶子 あ、懐かしいー。台の上に立って取るやつ?

壇蜜 はい。

小島慶子 バスケットボールの子ども版みたいな。

ミッツ 手で取るやつ?

壇蜜 かごが人なんです.ポートボールとかやってもボールが来ないんです.

小島慶子 あったよねー。そうそう。「あの子には回さな」いとか。別にみんないじわるじゃないんだけど、意識にないから回ってこないのね。

壇蜜 はい。で、ボール来ない時代をずっと私、根に持ってるんですよね。

小島慶子 いまだに?

壇蜜 はい。なんでボール来るんですよ,グラビアやってると。だからこの世界に・・・いちゃってすいません。

ミッツ 復讐心って大事だよね。

壇蜜 大事です.すごい大事です.

小島慶子 何に復讐してるの、ミッツさん。

ミッツ テレビで言えるはずないじゃん、そんなの.

壇蜜 電源切ってもらいます?

ミッツ なんかここ(心の内に)に煮えたぎらせとかなきゃいけないことだよね。だからポートボールの話みたいなのも含めて、ずーっとちっちゃいころから・・・。

壇蜜 ポートボールなんて氷山の一角ですよね。おそらく、こんなちまっとした部分ですよ.

ミッツ そう。だからポートボール的な話をあたしも用意しとかないといけないなって。あたし、ほんっとになんかね・・・カメラに殺意むき出しちゃ駄目じゃん?

壇蜜 殺意と血液は禁物です,カメラは。

ミッツ そうなんだよ.逆切れとも言うんだけどね。

壇蜜 逆切れです.

ミッツ もう紙一重じゃない,復讐心と逆切れって。

壇蜜 だって自分が・・・向こうは悪くないこともあるんです.

ミッツ 自分がちょっと適応できなかっただけの話なんだけど,たぶん世間的には私たちみたいな人たちって小・中・高の普通の社会の中で、そういう適応ができないことへの恨みつらみみたいなのがあると思うと思うんだけど,違うんだよ。あたし二丁目入ってからなの.

小島慶子 そうなんだ。適応できなかった?

ミッツ いわゆるすごいステレオタイプなゲイライフってあるから,そこに適応できなかったの。やっぱりゲイのライフスタイルって男のパロディーなのよ.モテなきゃいけないわけだから,とってもマッチョイズムな部分だったりとか.それものすごく表面的にみんなちゃんとやるのね、そこは。で、そこと全く私は適応できなかったの。

小島慶子 マッチョ文化に適応できなかった?

ミッツ うん。あと「モテなきゃいけない」っていう価値観に。「ばかじゃねえの!」って毎日思ってて、でも毎日二丁目にいたんだよね。でも女装を二丁目で始めた人たちは基本全部そこ、その反発心みたいなのは私かしらあると思う.

小島慶子 そうだよね。女装するってことは、わざわざ自分でモテない方向に持ってってるわけだもんね。

ミッツ そう。二丁目の中で圏外に入るのよ.「何が悪いのよー!」みたいになる.

壇蜜 向こうは悪くないのは分かってるんだけども、こちらとしても反抗しないわけにはいかないってなって、それがパンってなったのがおそらく大人になった姿なんだと思います、この。


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