2013年7月22日月曜日

「男の嫉妬」「大したこと言ってない」小泉進次郎VS池上彰の参院選ライブ 文字起こし



スタジオ

池上 この党の応援演説も大きな支えになるんですが、こういうときは人気のある人っていうのは引っ張りだこになるんですね。中でも、やはり、この人ですね、自民党の小泉進次郎青年局長、引っ張りだこの頂点とも言うべき人です。
 全国から応援要請があり、この赤いポイントで示した場所、小泉さんが応援演説で回った場所です。30同県、91カ所。ポイントは過疎地、離島、被災地、こういうところを選んで回ったんですね。つまり、アベノミクスを実感できない弱い立場の人のところに行くんだよということで回ったということなんです。
 実は私と宮崎(美子)さん、2人で小泉進次郎さんの応援演説を見に行ったんですね。

宮崎 はい、ね、炎天下に、とにかく人もいっぱい集まってましたし、大変勉強になりました。



VTR

新岡山港

小泉 あ、池上さん。どうも。(右手を差し出して握手を求める)

池上 どうも。(握手)

小泉 こうやってお会いするの、僕初めてですよね。

池上 初めてです。

小泉 どうも初めまして、小泉です。あの、12月の・・・。

池上 いえいえ、この前は大変失礼致しました。

小泉 いえいえ、もう、ちょっと。「あざとい」って言われたんで(笑)


去年12月放送、池上彰の総選挙ライブのVTR

池上 それぞれの地域に行くと、それぞれの方言を使って話し掛けてますよね。これ、私から見ると、ちょっとあざとい戦法だなと見えるんですが。

小泉 (苦笑いでうなずく)


再び新岡山港

池上 根に持ってますか?(笑)(口の前で手を合わせて)

小泉 もう、ああいう池上さんらしいツッコミがね、政治家鍛えてくれるんですよ(笑)

宮崎 なるほど(笑)

池上 きょうは小泉さんの演説を分析しようと思って。

小泉 あ、怖いねえ(笑)解体されちゃうんだ(笑)(顔の前で右手で空を切るポーズ)

池上 いえ、いえ(笑)

小泉 よろしくお願いします。

池上 はい、よろしくお願いします。


ナレーター 定期便のフェリーで小豆島に向かいます。同行スタッフは1人だけ、荷物は自分で持ちます。



フェリーの中

池上 小泉さん、ごく普通に一般の客と一緒にフェリーに乗ってるでしょう?

宮崎 そうですね、びっくりしました。

池上 で、ほら、近くに座った人とも気さくに話をして。それから、やっぱり小泉進次郎さんの特徴は中学生とか高校生、あるいは小学生に話しかけるんですね。家に帰って「さっきねえ、小泉進次郎さんが話し掛けてくれたんだよ」って言って家族をとりこにするわけです。

宮崎 なるほどねえ。


ナレーター 全てが戦略的な小泉さん、小豆島でどんな演説をするんでしょうか。


池上 小豆島というと、どんなことをイメージします?

宮崎 「二十四の瞳」ですよねえ。

池上 そうですねえ。小豆島といえば「二十四の瞳」、オリーブ、そして手延そうめんが大変有名なんですね。

宮崎 ああ、そっか、そうですね。

池上 小泉さんはいつもご当地ネタを、必ず盛り込むんですね。だから、私の予測としては「二十四の瞳」の舞台となった、あの教育の大切さをここからやるのではないかとか、ご当地の特産から町おこしの話をするのではないか。

宮崎 しかも、それにちょっと方言を混ぜながら。

池上 はい、そうですね。つかみでどんなことを言うのか、きょう取りあえず注目したい。


ナレーター 池上の予測は当たるのでしょうか。慌ただしく会場へと向かいます。演説会場には大勢の島民。とはいっても、何百人もいるわけではありません。



CM


★池上分析
①ダジャレ
②方言
③ご当地ネタ
④地方重視
⑤自民党批判


ナレーター 今回の参院選での小泉演説を分析します。


池上 小泉さんの演説というのは、ある種のパターンがあるんですね。
 まず、今回の参院選の第一声、秋田県の東成瀬村で第一声なんですね。
 「やっぱり小さな泉の小泉より、中くらいの泉の中泉さん」と、候補の名前をかけてダシャレなんですね。

ナレーター そして・・・

小泉 きょうの演説はどうかなあと思ってびゃっこ(ちょっと)心配したけど・・・

ナレーター ダジャレや方言の後はご当地ネタ、地方重視を訴えます。最後は・・・

小泉 この参院選の意義は何か、それは過去の自民党との決別と・・・

池上 「過去の自民党との決別です」と、つまり自民党批判をしているわけですね。

宮崎 うーん。

池上 これって、ほら、お父さんが「自民党をぶっ壊す」と「自民党をぶっ壊すことによって新しい自民党をつくるんだ」という非常に逆説的な言い方をしていましたでしょう?

宮崎 はい。

池上 つまり、これも自民党批判のようでいて、実は逆説的にどうか自民党に入れてくださいと。


ナレーター この流れが小泉演説の基本パターンです。


池上 でも、よーく見ると政策が入ってないんですね。「任せてください」とは言ってます。「任せていただいたらこうやります」というような具体的な政策はないわけですね。
 こうやって活字に起こしちゃうと、あんまり大したこと言ってないようで、でも聞いてると感動する。

宮崎 そうなんですよねえ。


ナレーター 小豆島では、どんな演説を聞かせてくれるのでしょうか。


池上 ほら、他の人がみんな黒っぽいスーツを着ているでしょう。1人だけ白いシャツで目立ちますよね。で、長袖をたくし上げるっていうのが大事なんですね、半袖じゃないんですよ、長袖をたくし上げるというのがみそなんです。


ナレーター 今回、小泉さんが応援するのは新人の三宅伸吾候補。前回は民主党が勝ったので議席奪還を目指しています。 


三宅 国会へ送ってください!!よろしく、お願いを申し上げます!!!

宮崎 硬い感じですね。

池上 硬い感じですよね。

自民党スタッフ それでは、お待たせを致しました。

(島民から笑い)

池上 さあ、始まりますね。

小泉 小豆島の皆さま、こんにちは!(左手を高く挙げる)

島民一同 こんにちは!(笑と拍手)

小泉 自民党青年局長の小泉進次郎です!
 小豆島の皆さん、きょうはめっちゃ暑い中、ようけ来てくれてありがとう!

池上 はい、方言が出ました(笑)

小泉 そして一番前にいる、赤い服着たお母さん、さっきから「暑いやろう」「暑いやろう」って言って、うちわで私のほう、ずーっとあおいでくれる。

島民一同(笑)

小泉 届かないけど、気持ちはしっかり届いてます。

池上 こうやって来てる人いじるんですよね。

宮崎 (うなずく)

小泉 着いてすぐ、オリーブそうめんをいただいて・・・

池上 はい、出ました。(フリップをゆびさしながら)オリーブとそうめん、出ました、はい。

小泉 私の胃袋の中には入ってますが、さっき小豆島の地元の方に聞いた、オリーブを食べさせて育てたオリーブ牛、そしてハマチ、オリーブハマチ、100年以上の歴史がある、そのオリーブを使って新たな取り組みもやっている、この小豆島!私はこの話を聞いたとき、これからの自民党は小豆島にならなきゃといけないと思いました!

宮崎 ほっほお。

池上 はい。

小泉 もしも今回の参院選で勝ってねじれが解消されたら、もう自民党は言い訳できません。私たちがやると言ったことができなかったら野党の責任ではありません!自民党の責任です!
 暑い中、本当にありがとうございました!ありがとうございました!ありがとうございました!

(選挙カーから降りて島民たちと握手)

池上 支持者と触れ合うわけですね、これが、またとっても大事なことで。
 でも「二十四の瞳」は出ませんでしたねえ、やっぱり。

宮崎 (笑)これは年代でしょうか?

池上 年代の違いですね。「二十四の瞳」が出てこないところに私たちと小泉さんの年代差が出てしまったかなあと思いますね。

宮崎 確かに、そうですねえ(笑)


ナレーター わずか1時間の滞在、この後高松と高知を回りました。そして・・・


フェリーの中

(席に座る小泉に池上が近づく)

池上 いいですか? ちょっと。


ナレーター 移動中のフェリーでインタビューに成功。小泉進次郎の戦略と本音に迫ります。


(フェリーの甲板に移動して)

池上 演説してると「暇はないけど日間賀島」って言ったり、相当ダジャレがお好きですねえ。

宮崎 (笑)

小泉 よく、さすが、もうリサーチは。

池上 はい。

小泉 くだらないこと言っておりますけどね(笑)

池上 (笑)やっぱり、それでお客さんの心をつかむわけですね。

小泉 いや、つかんでるかどうかは分かりません(笑)

池上 (笑)はい。

小泉 ただね、いきなり話の本題入る講演ておもしろくないじゃないですか。

池上 その通りですね。

小泉 ねえ。

池上 ええ。なんで小豆島選んだんですか?

小泉 小豆島、やっぱり魅力ある島ですよね。あと、今回の選挙でも離島と過疎地と、東日本大震災の被災地という、そういった大きなテーマで遊説を組んでますので。

池上 大都市を回れば大勢の人に声が伝わりますよね、効率いいですよね。

小泉 効率いいですね。

池上 こういうところ回っても100人ぐらいしか集まらない場所いっぱいあるでしょう?

小泉 確かに、池上さんおっしゃる通り、効率の良さ考えれば大きな駅前ってのが一番なんですよ。

池上 そうですね。

小泉 だから電車乗り継いで大きい駅前で降りて、そうすれば、かなり効率的に回れますけど、すぐ忘れますよね、聞いた人はね。

池上 なるほど、確かに。

小泉 だから、そういう深さっていうんですか、それは間違いなく、こういった場所のほうがありますよね。

池上 うん。



スタジオ

池上 はい。

徳井 すごい、こう支持者っていうか、ファンの方っていうか、韓流スターのファンの方みたいな感じで、奥様方が。

宮崎 ずっとね、一人一人と演説前にもこうやって目を合わせて、一人一人を取り込んでらっしゃる感じでした。

徳井 宮崎さんもニコニコして小泉さんのこと見てましたけど。

宮崎 ほんっとにね、お上手ですよね。(池上のほうを見て)

池上 そうですね。

宮崎 つかまれますよ。

徳井 どんだけ演説したかというよりも、どんだけ効果があったかっていうのを、ちゃんと考えてやってらっしゃるっていう感じがね。

池上 そうなんですね、非常に、しかし、計算し尽くされてると思うんですけどね。大体、宮崎さんぐらいの世代の女性たちは、みんなウットリしてました。

宮崎 (笑)はい、そうでした。




他のコーナーを挟んで再びインタビューのVTR




小泉 特に街頭演説の定番スポットってあるんですよ。

池上 ありますね。

宮崎 ええ。

小泉 ここでやっても、僕はあまり人に印象に残んないと思いますね。

池上 なるほど。

小泉 そのときの選挙では、もちろんいいことはあるし、やんなきゃいけないことなんですけど。

池上 そうすると小豆島の人は、これから10年も20年も「前に小泉進次郎さんが来てくれたんだよ」
って語り継ぎますよね。

小泉 そうですねえ、だから、そういう深さっていうんですか、それは間違いなく、こういった場所のほうがありますよね。恐らく、選挙期間中にこういったところに今まで来た、選挙戦を立てた人はいないと思うので・・・

宮崎 ああ、そうなの。

池上 そう、そうです。

小泉 やっぱり選挙戦考えたら、この船に乗ってる70分間、一体何人と会えるのかって考えるのが選挙戦略ですから・・・

池上 そうそうそう。

小泉 そっからすれば対極で、なおかつ今回ネット選挙解禁という中では恐らくこういうアナログのやり方っていうのは対極でしょうね。行った先々の島の方々や、過疎村の方々自体も「なんでここ来たの?」と・・・

池上 なるほど。

宮崎 (笑)

小泉 そういうリアクションが、まず来ますよね。

池上 うん、うん、うん、うん。なるほどね。
 で、今、こうやって全国を回っている、これは10年、20年後の基礎固めじゃないかって、こういう見方ありますけどどうですか。


CM


池上 去年の総選挙のときに中継をつないでいろいろお話をしたときに「方言をよく使いますよね」といったら「いや、関西行くと、これが通用しないんです」っておっしゃってたでしょう。

小泉 あのときは大阪って言いましたね、僕ね。
 

池上 あ、そうでしたね。

小泉 うん。 やっぱりそれがスッと親近感をもって受け止めてくれるところと、池上さんの言葉を借りればあざといと思われるところもある。

池上 (笑)

宮崎 (笑)

小泉 やっぱ、そこはあるんですね。

池上 うん、うん、なるほどね。あと、あのときに「落語をよく聞いて勉強してる」っておっしゃってましたよね、その後もいろいろと研究してますか。

小泉 そうですねえ、毎月1回ぐらい寄席に行きますね。

宮崎 あ、そうなんですか、お忙しい中を。

小泉 あそこに行くと日本の庶民の伝統芸能、文化、これを味わえるので。

池上 お父さん、歌舞伎が好きでしたね。

小泉 ですね。

池上 ねえ。

小泉 歌舞伎は歌舞伎ですごくいんでね。

池上 うん。

小泉 でも敷居が高くないところがいんですよね。

池上 なるほどね。で、今こうやって全国を回っている、これは10年、20年後の基礎固めじゃないかって、こういう見方ありますけどどうですか。

小泉 それは全て、誰でもそうなんじゃないですか。池上さんでも宮崎さんでも、全ての仕事が血肉になって自分のためになると思いますから、ただ選挙っていうのは結果出さなきゃいけないもんですから、回ったことが結果につながるように、かつそれが自分の今後の経験として糧になれば、こんないいことないですね。

池上 もう今は、その10年、20年後の糧を今蓄えているんだという決意表明ですね、これは。

小泉 いや、そんな余裕ないですね。

池上 (笑)

小泉 もうね、池上さんが思うほど、なんか手を替え品を替え、ポンポンこう出したり引いたりしてやってるんじゃなくて、とにかくそのときにねえ、必死なんです。

池上 なるほどね、と常にねえ、謙虚なんですよ。

宮崎 そこがまた・・・

池上 そう、これが好感度を高めるというね。

宮崎 ええ。

小泉 だって政治の世界って50代で若手って言われるんですよ。自分の未熟なとこばっかり気付きますし。

池上 特に男の世界、嫉妬ってすごいでしょ? 相当いろんな人たちからの嫉妬を受けてるでしょ。

小泉 まあ・・・政治の世界っていろんな声が耳に入りますけどね、その、聞かないふりをすることも一つの人生訓なのかもしれないし、恐らく政治の世界じゃなくて芸能界や報道の世界も同じようなことあるんじゃないですかね。こういったことに鍛えられながら、耐えながらやっていかなきゃいけないですね。

池上 小泉進次郎を演じるってつらいですねえ。

小泉 演じてるって見てますか?

池上 はい、はい、えー、素でやってる部分が相当あると思いますけどね。

小泉 ええ。自分で選んだ道ですから、その中でみんなに信頼されるように一生懸命頑張ります。



スタジオ

池上 いつも滑らかにお答えをいただくんですが、男の嫉妬について聞いたときだけは、しばらく間がありましたね。宮崎さん、インタビューどうでした?

宮崎 とにかく今ご覧になって分かる通り、本当にクレバーな方ですよね。そして、こちらの気持ちも良くなるように、うまくこちらのことも振ってくださって。インタビューとしてはすごい楽なんですよね、でもね。

峰 いやあ、そうですよねえ、振ればねえ。

宮崎 うん、何でも答えてくれる。

峰 全部返ってきますもんねえ、よどみなく。

宮崎 そうなんですよー。

峰 ねえ。






絶大な人気の小泉進次郎さん、
まだ32歳で2期目にもかかわらず
番組内でこれだけ大きく取り上げられるのはさすが。
受け答えも本当に堂々としていて、うまいですよね。

しかし、あれだけ長いインタビューを聞いても
どういう人なのか、いまひとつ人物像がつかめない気もします。
ジョニー・デップが「かっこ良くなるためには、かっこ悪く生きること」と言いましたが
もう少し素の部分が見たいなあと思うのは私だけでしょうか。

でも、さわやかなイケメンで頭が良くて
とても魅力的な人だというのはよく分かりました。
まだ若いですから、今のうちに失敗もたくさんして
素敵な政治家さんになってほしいですね。







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