新作の公開まで1年を切った去年秋
宮崎 あーあ、難しくてもう参ったよ。
制作が佳境を迎える中、宮崎は油を売っていた
宮崎 ここでパンってやんないで、スッて合わせるんですよ(笑) グリコって足を上げて。これ僕の発明した体操ですよ。
自ら考案した健康体操を指南する
宮崎 もう一度やり直せ。つまんない空間なんだよ。空間を制限した中で書かなきゃいけないんだ。自分の好きな角度で描くんじゃないんだ。どんだけ俺は時間を無駄にしたと思う、このために。こんなにたまってしまったよ、もう。駄目なら降ろす、もう。すぐやめろ。
現場に戻ると不機嫌になり、鬼気迫る姿を見せるのはいつものことだ
宮崎 いや、もう冗談じゃないよ。俺、もう72だよ。時間ないんだよ、俺。持ち時間そのものが少ないんだよ。
だが、不機嫌の原因はそれだけではなかった
新作のテーマは今までになく厄介なものだった
主人公は伝説の戦闘機、ゼロ戦を設計したことで知られる堀越二郎
実在の人物を初めて主人公に据え、
日本が戦争へと突き進んだ時代を描く
そこには大きな問題が横たわっていた
堀越がつくった飛行機は
戦時中、殺りくの道具ともなったのだ
その半生を描くことは
かつての戦争を美化することにつながるのではないか
周囲には賛否が渦巻いていた
宮崎 「(スタッフが)軍用機をつくった人の映画を作るんですか」って、目が据わってんの。うちの女房にも全く同じ事言われた。「戦闘機をつくった人の映画を作るの」って「トトロみたいな映画をつくればいいじゃない」とか。トトロみたいなもんって、トトロあるからいいじゃんね。
なぜ、宮崎はファンタジーを捨て、困難な道を選択したのか
宮崎 俺だって、これで「戦争の道具をつくった人の映画をつくるんですか」っていうのに答えなきゃいけないんだ。なんでつくると思う?
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