2013年11月2日土曜日
(1)「日本人と現象」探検バクモン 高畑勲×爆笑問題
田中裕二 日本人って本当にこんだけアニメが好きだったリ、才能がある人が多かったり。向いてるんですかね、アニメというものに?
高畑勲 向いてると思いますね。
田中裕二 どういうとこが向いてるんですか。
高畑勲 面白いのはですね、キリスト教の絵画なんかでもルネサンスでガーッと変わるわけだけど、それまでっていうのは何か言いたいことがあって、それを図式として伝えようという。
それに対して、日本というのは早くから現象というのかな、現象を描写するということが大好きだったんですよ、本当に。だから絵巻物なんていうのは本当にそうなんだけど、例えば落馬する瞬間なんていうのが書いてある。
ああいうのはヨーロッパは全然発達してない。要するに次の瞬間変わっちゃうわけでしょ、もっと永遠に残すようなものでなきゃ駄目なんですよ。
日本は動きを表現する。最初からそんなのが好きだったんです。
田中裕二 そうですか。それは何か民族的な何かあるんですかね。
高畑勲 あると思います。
田中裕二 波とかね。
高畑勲 波だってそうです、本当に。波であれ、人間の動きであれね。『鳥獣戯画』のやつとかみんな躍動してるじゃないですか。ああいうふうなものってあの時代に全然ないですよ、世界に見たって。
だからどうしてそうなのかっていうのはまた別の話ですけど。でも、そういうものをずーっと受け継いでることは間違いないです。
田中裕二 へえー、不思議だなぁ。何でなんだろうねえ、それは。
高畑勲 浮世絵なんか髪の毛一本一本書いてある、あれなんかアニメと似ているんですよ。
というのは北斎であれ広重であれ、あるいは歌麿であれみんな絵描きだけど、あの人彫ったわけじゃないんですよ、版画家じゃないから。
ということはそういう職人集団に、すっごい力量に支えられてできているんですよ。
田中裕二 支えられて。自分で彫ってるわけじゃないんだ。
高畑勲 そう、刷ってるわけでもないし。なのにあんな程度の高いものができてるわけでしょ。それはすごいんですよ、やっぱり。
田中裕二 共同で。
高畑勲 うん。
太田光 面白いですね、そう考えるとね。
田中裕二 ねえ。
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