2013年11月2日土曜日

(3)「新しい表現」探検バクモン 高畑勲×爆笑問題



太田光 人のことながらねえ、感慨深いものがあります、ここまできたら。

田中裕二 ちょ、ちょっと待った。なんだ、なんだ、その上から。どういうことですか。

太田光 (笑)いやあ~なんていうんですかね。うまく言えないですけどね、ディズニーがあるじゃないですか、まず。ディズニー映画の『シンデレラ』とか『白雪姫』とかピクサーとかああいうふうになる前のディズニーのきれ~いな動きの。

田中裕二 きれいでしたよ、われわれが子どものころにね。

太田光 ほんっとにきれいな映画。やらかーい、にじんでいくような、ほんとにやらかい動きだったじゃないですか、シンデレラの。ああいうのってもうできないのかなって、これからCGにどんどんなってって。で、もっとなるとピクサーのああいうCGになるわけでしょ。ああいうアニメってもうないのかなあって思ってたんですよ。
 そしたらさっき試写室で(『かぐや姫の物語』を)見て本当に鳥肌が立ったんですよ。あ、こーれだよ! と。僕の中ではディズニーの初期のものの、もっと進化したものにやっときたっていうふうに。高畑、よくここまで!(笑)

田中裕二 うるせえわ!(笑)

太田光 そういう世界のアニメの歴史がやっと進んだって感じが今しちゃって。すごい感慨深いものがありましたね。



高畑勲 『竹取物語』というのはすごく有名ですけど、実は読んで面白かったとか、感動したとかいう人誰もいないんです。

田中裕二 (笑)

太田光 変な話ですよね、確かにね。

田中裕二 確かに有名だし、みんな知ってますけどそうですね。

高畑勲 わけ分かんない話だってことになってるわけで。それをう~んと昔に、まだほんとに若かったときに、あ、こうやれば面白くなるんじゃないのっていうこと思いついたんです。思いついたんだけど、そのままずっと埋もれておったわけです。

田中裕二 ずーっと、もう何十年も。

高畑勲 ええ、そうです。で、せっかくこうやったら面白くなるんじゃないかと思ってたんだから、それを終わりにというか、やろうと。

太田光 ある種日本って、言ってみりゃアニメ先進国って言われてからもう長いじゃないですか。それはもちろん、高畑さんや宮崎さんのやってきたことがそうしたんでしょうけども、そこにふんぞり返ってるわけにはいかないという意識はあったんですか。だって、こんな新しいことをさらにやるっていうのは。

高畑勲 そんなことはあり得ないじゃない、ふんぞり返るとか(笑) 
 自分が絵描きじゃないことが余計作用してるんですけど、やっぱ次の作品作るときに、新しい表現はそういう才能を持ってる人たちがいて、しかし同じ表現をしていたんじゃあさ、次の表現にいかないじゃない、その人たち自身も。だからそれを引き出すというかな。で、できたら一緒に喜べるわけですよ、こっちも。

田中裕二 今回どうですか、自分のやりたいことかなり満足できる、かなったっていう実感というのはあるんですか。

高畑勲 実感はっきりあります、うん。
 やっぱりこんなことができたということは、ほんーとに自分にとって大きなことだと思います。それはもう感謝ですけどね、一緒に協力してくれた(人たちに)。
 ただ感謝だけじゃなくて、やっぱり新しい表現をするっていうことは、何が出てくるか分からないけど次の時代に何かを受け渡すことになると思うんだよね。それは意味があるんじゃないかと。

 

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