2014年1月28日火曜日

クローズアップ現代 あしたが見えない~深刻化するガールズ・プア~(5)「貧困の連鎖」

国谷裕子 取材した報道局の村石記者です。
 村石さん、日本は世界第3位の経済大国で、経済戦略の大きな柱として女性活用を掲げている国ですけれど、これから子どもを産み育てる若い女性たちが頼る場所がなくて、頼っている場所が風俗産業であるというこの現実。
 なぜこんなことになってしまったんだろうかという、本当に憤りというほどの気持ちを感じてしまいますねえ.

村石記者 本当に皮肉な現実を見たと私も思いました.
 風俗店は密室で客の男性と向き合う仕事であり、危険を伴う仕事でもあります.中には違法なサービスで働かせている店もあります.精神的にバランスを崩していくという女性もいて、将来的に長く続けていくのは難しい仕事です.
 しかしそれにも関わらず「最初は躊躇があったんだけれどもほかに行く場所がなくて、結果的に店が用意した生活環境に居心地の良さを感じたり、精神的にも依存するというような女性が数多く見られました。
 社会のセーフティネットからこぼれ落ちた人たちがここに集まっているんではないかと強く感じました。
 今回、私たちは仕事をいくつ掛け持ちしても貧困にあえいでいる女性たちに何十人も話を聞いてきました。立場は皆さんそれぞれなんですけども、共通して感じたのは、育った家庭の経済状況が非常に厳しいという背景があるということでした.親の世代も貧困で、第2世代、第3世代の彼女たちが、なかなかそこから抜け出せないと。社会の階層化が非常に進んでいるんではないかというふうに実感しました。

国谷裕子 シングルマザーの抱えている住まいの問題、保育の問題、本来はこれは行政が解決すべき問題ですよねえ.

鈴木晶子さん 現状でいいますと、生活の保障がなされるものというと生活保護しかないのが現状です.それすらこのVTRのように申請を受け付けてもらえないというケースもあります.
 また現在、生活全般にわたって支援が縦割りになっているわけなんですけれども、この性産業というのが、食とともに住宅であるとか、夜間が病児の保育も含めた保育にまでしっかりとしたセーフティーネットになってしまっていて、じゃあ実際にそれが公的なところでこんなに包括的なサービスが受けられるかと言われると、そうではないというのが現実なんじゃないかなというふうに思っていて、社会保障の敗北といいますか、性産業のほうがしっかりと彼女たちを支えられているという現実だと思います.

国谷裕子 その正規の仕事がある方に優先的に保育の場が与えられてしまうという時代の現実もありますよね。
 今、お話にありましたように、貧困の家庭の中から、また新たな貧困というものが起きている.この連鎖をどうやって断ち切っていきますか.特に若年女性をターゲットにした場合.

鈴木晶子さん そうですね。まず、やはり教育ですね。教育段階から支援の手を入れて、生活や就職の自立の支援をしていくのが大切だと思います.
 また低所得者向けの住宅が貧困であるということも重要なポイントで、住宅政策を充実させる、これは公営住宅を増やすであるとか,民間住宅を借りるときの保証や初期費用を給付するなどですね。そういった保証も含めてやっていかないと、なかなか困窮世帯ではない家と同じ土俵に立つことができないという状況があると思います.

国谷裕子 高校を卒業するまでに就職支援の在り方も、もっともっときめ細かくする必要がありますよね。

鈴木晶子さん 地元の企業の雇用開拓からきめ細やかなマッチングまで、就労について具体的な支援をしていけるような仕組みも必要だと思います.

(終わり)



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