2014年1月28日火曜日

クローズアップ現代 あしたが見えない~深刻化するガールズ・プア~(3)「増える非正規雇用」

国谷裕子 今夜は臨床心理士で、経済的な問題を抱えている女性たちの支援を続けてらっしゃいます、鈴木晶子さんにお越しいただきました。
 今のリポートで19歳の鷲見さん、自分で生活費を、親に頼らずに稼いでいて保育士を目指しているということですけども,本当に何とか保育士っていう目標を達成してほしいですねえ.

鈴木晶子さん そうですねえ.実際、通信制高校や定時制高校、あと全日制高校でも、かなり学力下位の学校では、こうした自分で自分の食費をまかなって、さらに家計にお金を入れるというようなアルバイトをしながら、何とか学校を続けている子どもたちがたくさんいます.
 実際に、この彼女も卒業して高卒資格を手に入れられそうということなので、まずはひとつクリア。次に保育士(資格)が取れるということですね。
 ただ次に出てくるのが、保育士も手堅い仕事ではあるんですが、賃金水準としてそれほど高くない仕事ですので、この借りた奨学金の返済がかなり重くのしかかってくる可能性があると思います。
 本来であればこうした困窮世帯の子どもたちの進学にあたって、もっと給付型の奨学金が増えていけば、もう少し楽に社会に出ていけるのかなというふうに思います.

国谷裕子 そうですね。卒業して資格を取った後に借金を背負わなくてもいいというふうになればいいと思うんですけど。
 一方で25歳の二つの仕事を掛け持ちしている方、月13万円ということでしたけれど「自分は結婚、あるいは子どもを産むということは考えられない」という、その言葉も非常に胸に残りました。

鈴木晶子さん そうですね。何とか働いてるものの、実際見ていただきましたように、高卒の女性の5割も正社員で働いてる人はいないわけです.非正規で働いている人たちは最低賃金ぎりぎりで働いている方もたくさんいらっしゃって。日本の最低賃金低いですので、そこでフルタイムで働いたとしてもかなりぎりぎりの生活であると。
 同様に非正規雇用の男性たちも、同様に最低賃金ぎりぎりで働いているというような状況ですので、なかなか社会が階層化されていて、先ほど言いましたように非正規の女性は非正規の男性としかなかなか出会えないというように、生活空間が隔絶されてしまっているので、じゃあこうした同じ給与同士で働いて、非正規なので産休・育休取れない中で子どもを産んで、育児ができるかと言われると「冷静に考えるととても無理だ」というふうにお感じになるのは社会の状況を反映したものなので、仕方がないのかなという感じがしています.

国谷裕子 これまで若年女性たちの貧困っていうのは、あまり光が当たってこなかったような気がするんですけれども、なぜここまで来てしまったんでしょうか.

鈴木晶子さん 実際は女性というのは、多くが結婚すれば男性が1人稼ぎ手になって養うので、何とかなると考えられてきました。
 ところが,今、若い人全体の賃金が下がっている,また男性でも非正規雇用の方々が増えている。非正規雇用の男性の結婚をしていない率、未婚率というのは高くて、家庭を養うだけの収入を得られない、未婚のままであるという男性が増えてきている、加えて女性の貧困というものもはっきりとしてきたというところがあると思います.

国谷裕子 今のリポートで、高卒の場合48.4パーセントの方が正社員になれないというグラフがありましたが,女性全体で見ますと、20年前は非正規で働いていた人たちが39パーセント程度だったんですが、今では57.5パーセントにまでなっているということで、女性たちが世帯主というか、収入源を自分で稼がなきゃいけないっていう時代にだんだんなりつつあるということなんですね。

鈴木晶子さん もともと働き続ける女性というのは、正規でバリバリ働くタイプの人たちばかりだったと思うんですけども、実は今、もっと貧しい人ほど働きつづけなくてはならないという時代が来ているんだと思います。


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