2013年10月11日金曜日

(7)「いじめ防止対策推進法の弊害?」 あさイチ いじめ 誰が子どもを守れるのか




中谷文彦アナ はい。
 先月末からスタートした、いじめ防止対策推進法、期待の声もあるんですけれども、とにかく素早く学校が対処していく、調査していく、その基本方針が逆に新たな弊害を生むのではないかと心配する声も出ています。



新任校長研修会 三重 津市



新たに施行されるいじめ防止対策推進法に危機感を持つという

大阪大学大学院教授の小野田正利さんです


小野田さんは、法律の運用の仕方によっては

逆に子どもたちを追い詰める恐れがあると危惧しています



小野田正利さん
「この法律、もう危なくて仕方がないんです。」





小野田さんが起こりうるかもしれないと懸念する

最悪のケースを見ていきます



二人の女子中学生、A子とB子

小学校時代から大の仲良しでした


A子は最近両親が不仲で

家に居場所がありません


B子とのおしゃべりが唯一ほっとする時間でした



そんなA子とB子の間である日生き違いが生まれます


最初はちょっとしたA子の誘いを

B子が断ったことがきっかけでした


さらにA子が打ったメールに

B子が忙しくて返信できないという事態が重なります



実は、B子には全く悪気はありませんでした


しかしB子との友情を心の支えにしていたA子は

大きなショックを受けました


ついにA子は

学校を欠席するようになります



理由を尋ねる担任からの電話に

「B子に無視されたから」と説明しました



法律では行為の対象となった児童が

心身の苦痛を感じているものをいじめと定義します


つまり、本人が苦痛を感じればいじめになる可能性があります



B子は担任や生徒指導の教師から事情を聞かれました


しかし何度聞かれても

B子にいじめたという認識はありません



学校が調査を進めているさなか

事態はさらに動きます


欠席が続くA子を心配した両親が

教育委員会に対応を求めたのです


第24条では

教育委員会などが個別のいじめ事案について

実用な調査を行うことがあると定めています


クラスメートへの大掛かりな聞き取りが行われるようになります


そしてことが大きくなっていった結果

B子まで学校を休むようになってしまいました




小野田正利さん ブラックとホワイトがあるとすると、グレーのところまで全部網をかけてこの法律の中に乗せちゃうっていう形になりますから、冤罪(えんざい)も起きやすくなるとは思います。
 だから冤罪かどうかを後で確認するという作業もさらに必要になる。
 結局、子どもの世界をどういう形で、子どもの自治の力で回復してくかっていうチャンスをつくってかないと。
 いつも大人の目だとか、大人の論理の監視の体制ばかりをつくっていくと、これは子どもの世界は歪むし破綻する。そういう危うさがあると思います。






井ノ原快彦 まさしくそうなんでしょうね。

つるの剛士 さっきもありましたけど、大人の世界でもあることなんでねえ。

井ノ原快彦 相談されたときに「あいつから聞いたんだけど、おまえいじめてるらしいじゃん」とはやっぱり言わないじゃないですか。何となくうまくやろうとして、何とか話を聞いてあげたりするじゃないですか、大人だって。
 子どもも全く同じなのかなって思いますよね。

有働由美子 ただ、自殺までいったりするようなケースを考えると、子供だけに任せておいていいのかという気持ちも分かるというか。

室井佑月 ルールをつくっちゃって、全部それに当てはめないとってなると、やっぱりちょっと歪んでるよね。

中谷文彦アナ この辺の、こういうケースっていうのは実際あり得そうなんでしょうか。

尾木直樹 先進的な自治体というのはこういう取り組みやってるんですよね、いくつか。まあ、大津でもやってますけれども。
 そういうところの事例で見ますと・・・僕も当初はこういうふうに心配したんですよ、小野田先生と同じように。大丈夫かなあって。あるいは、(いじめの報告が)1日に100件も200件もワーッと来ちゃうんじゃないかって思ったら、やっぱり意識が変わるんですよ、子どもたちの意識が変わるし、先生方や市民や、親も変わってくるから、そういう目でフィルター通されていって、本当に深刻だなあっていう事案だけが上がってきます。本当に不思議に。
 そして、こういうの(VTRのようなケース)は学級担任だとか、子どもたちの間でクリアーしていくというふうに変わってきます。

井ノ原快彦 ああ、何でもかんでも上げるわけじゃないんだ。

尾木直樹 全部上がってくるわけじゃないの。
 だから、今の現状がひどいからね、すごい心配されるの分かるんですけども、先駆的なところ、僕いくつか関わってるんですけども、それ心配なかったです。

井ノ原快彦 ああ、そうですか。

有働由美子 子どもたちの自治的な解決法っていうのは、具体的にはもうケースは出ているんですか。

尾木直樹 ええ。先駆的なところは、生徒会や児童会が動いて自分たちでいじめをなくそうなんていう取り組みをするんですよ。ある中学校行ったら面白かったのが、一生懸命取り組んだら、前年度よりいじめが増えちゃったんですよ。

井ノ原快彦 あら。

有働由美子 え?

尾木直樹 それをね、僕の前で見てるのに校長先生発表するわけね。いいのかなって思ったんですけど。で「僕たちこんなに頑張ってるのに、逆にいじめが増えた」って言うんですよ。
 「先生、どうしたらいいのか」って言うから、「それは君たちが人権感覚鋭くなって、友達のことや自分たちの仲間だけじゃなく教室を見るようになったから心配なことがいっぱい出てきたんで、感度が高まった証拠で、これがもう一つ、来年になったら低くなるんじゃないか」っていうようなことお話したんですけど。

井ノ原快彦 へえー。

尾木直樹 うん。面白いです。
 で、生徒が動けば必ず展望が出てきます。大人だけでやろうなんて無理。だって子どもの世界で起きてることなんですもん。

井ノ原快彦 そうですよねえ。







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